周産期医療の広場 報告書等

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【厚労科研報告書】 「東日本大震災の課題からみた今後の災害医療体制のあり方に関する研究」 平成25ー27年度総合研究報告書 「わが国の周産期医療センターの災害対策の現状と課題に関する研究」   開催日 2016/03/04

厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業)
「東日本大震災の課題からみた今後の災害医療体制のあり方に関する研究」
平成25ー27年度総合研究報告書
「わが国の周産期医療センターの災害対策の現状と課題に関する研究」
研究分担者 海野 信也 (北里大学医学部産科学・教授)

研究要旨
【研究1】わが国の周産期センターのNICUを対象としてアンケート調査を実施しわが国の新生児集中治療室(NICU)における災害対策の現状を把握し、東日本大震災前の調査(2007年)と比較検討した。NICUにおいては、大規模災害時に診療機能を確保するための準備が、十分とは言い難いが一定程度は行われていることが示された。しかし、高度なNICUケアが可能な人材の確保については、地域の他の医療機関からの支援を期待することは多くの地域で期待できないのが実情である。仮に施設面、物資面で対応できたとしても、中長期的な診療機能の確保は困難な状況が想定される。幸いにも、被災地外のNICUからの人材派遣については、相当の可能性があることが今回の調査で示されており、大規模災害の超急性期を脱した後のNICUの事業継続にとって、非常に有力な支援となりうると考えられた。
【研究2】わが国の周産期センターを対象としてアンケート調査を実施し都道府県の地域周産期医療体制における事業継続計画の策定状況を把握し、今後の課題を検討した。大規模災害時の地域産科医療提供体制の確保のためには、通常は小規模施設で対応されている多数の低リスク妊産婦への対応を、大規模施設で円滑にできる体制の整備が必要だが、各地域ではまだほとんど検討が進んでいないのが現状であることが明瞭になった。検討を行っている数少ない都県においても,周産期医療体制を検討する周産期医療協議会で検討されており、自治体の災害対策担当部門との連携が希薄である可能性が考えられた。
【研究3】大規模災害時の被災地の母子支援のための方策として、被災地外の周産期センターから派遣される支援チームの組織化について検討した。周産期母子医療センターに整備されているドクターカー等を活用し、災害時の被災地の母子支援を行うチームを構築することは可能と考えられた。
【研究4】これまで研究成果及び先行研究を踏まえ、大規模災害発生時の地域周産期医療の事業継続計画(BCP)策定のための課題について、はじめて検討をおこなった。BCPの策定に際しては、災害医療と周産期医療の密接な連携を前提として、平時の周産期医療の実態と災害時の地域分娩施設の診療継続能力、地域で稼働可能な周産期医療人材等に関する詳細な検討が必要と考えられた。従って地域周産期医療BCPの策定には、各施設のBCPの存在が前提となる。その上で、想定される大規模災害の時期に応じた地域の診療能力の変化を検討し、地域内で対応可能な周産期医療の範囲、地域外に搬送すべき妊産婦の数等について明らかにする必要性が考えられた。災害時の周産期医療関連情報の収集、伝達、共有の方法が大きな課題と考えられた。
【研究5】千葉県で実施された首都直下型地震を想定した大規模地震時医療活動訓練における小児周産期医療を含む図上・実働訓練に参加し、課題の抽出を行った。1)災害時には、情報収集が困難になることが予想され周産期コーディネーターチームは、災害対策本部に入って活動する必要がある。2)周産期センター等の施設相互の連絡を行うため衛星電話等の専用回線を確保する必要がある。3)災害時周産期広域搬送のあり方について検討し、そのための方策を明確にしておく必要がある。4)災害医療分野と周産期医療分野の連携を強化する必要性が示された。
災害時の地域周産期医療の確保と母子支援体制の充実のために必要な施策を検討した。現状の調査の結果、災害医療と周産期医療の平時からの連携の強化、周産期医療機関及び地域周産期医療システムとしての事業計画策定の必要性、災害時の情報収集・伝達の重要性とそれを担保する施策の必要性が明らかになった。
  • 2016-3-4 海野 平成25~27年度研究報告書.pdf
参照サイト:なし